テレフォン人生相談


テレフォン人生相談2019年8月1日(木)
パーソナリティ:柴田理恵
回答者:三石由起子(作家・翻訳家)
46歳男性から、一年ほど前、自身は後遺症が残るかというほどの事故に遭い、実兄が妻子を残して自殺、4年ほど前に実父も他界し、実母は認知症が酷くなり施設に入っている。急な事で、自分の居場所がなくなってしまったようで、喪失感から抜け出せない。

目次

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5分で読める今日のまとめ

相談者は46歳男性、妻は49歳、子供は三人、自立してる長男21歳、長女19歳、次男17歳、自殺した兄には妻と高校生の子供が二人。
実父は4年ほど前に他界し、実母は認知症が酷くなり施設に入っている。

一年ほど前、実の兄を自殺でなくす。
父親も四年ほど前に亡くなっている。
二人共、急に亡くなってしまって、そこに絡めて実の母も、認知症が酷くなり、施設に居る。

自分の家族がなくなってしまった、居場所がなくなってしまったというか、すごい喪失感から抜け出せなくなってしまった。

ー家族みんな元気でいるのに、喪失感というのは、何かあるんですか?

兄が亡くなるちょうど一年前に事故に遭った。
後遺症が残ったりするほどの事故で、ひょうっとしたら命もなかったかもしれない状態だったが、奇跡的にちょっとし怪我で済んだので、今のところ、若干の後遺症はあるが、元の仕事に復帰して元気にしている。

実家の方の家族は、一気に、パタパタパタとなくなってしまったという部分が大きくて、ここ数年の間、立ち直る間もなくいろんなことが起こり過ぎている。

ー今、振り返って、寂しい気持ちになっているということ?

兄の嫁と子供が居るので、親戚とかから、「お前がしていってやらないかんのやぞ」と、プレッシャーを掛けられるが、それを言われても、自分にも家族、家がある。

ーお兄さんとは仲良しだったんですか?

一時、疎遠になることもあったが、それを除けば、同じようなことをずっとしてきたので、趣味とかも一緒で、非常に仲の良い兄弟でした。

ー今でも、お兄さんのお嫁さんとかお子さんのところへ、行き来なさってるんですか?

まだ、いろんな法要とかがあったので、出向いていくことが多い。
お互い、いろんなことを話して、一緒にやって行こうと、いろんな話はすすめている。

やらなければいけない事が、たくさんあり過ぎる。

自分の子供と、かわらない子供達なので、そういうことも思うと、非常に悲しさというか、そういうものが余計に深いというか、辛い気持ちが多いですね。

ー向こうのお子さんも、向こうのお嫁さんも、お兄さんの亡くなられ方の事を考えると、お辛いですよね。

ーそこもちょっと、フォローしてあげなきゃと思うと、余計に、あなたも大変ですね。

自分じゃなくなっちゃってる感じがして、なぜ自分だけが?とか、なんで今、亡くなるんだろう?とか、そこの部分が強くて。

ー喪失感って、いったいどうしたらいいんでしょうかね?

そうなんです、それをちょっと相談したいなと思いまして。




三石由起子アドバイス

ー喪失感というのは、錯覚ですよ。

相談者:錯覚ですか?

ーうん、錯覚。錯覚だと思いますよ。
あなた、身内の中で、自分だけが辛い思いというか、亡くなっちゃってる辛さを味わっているとおっしゃったけれど、一番の身内は妻。

ーあなたは兄を亡くしたかもしれないけれど、夫を亡くした妻の方が辛いんだよ。
それと、父親を亡くした子供の方が辛いんですよ。

ー自分だけが、失ったような・・っていうのは、全く錯覚。
父親に、いきなり亡くなられた子供、しかも高校生、これが二人も居る。
まだ若いのに、夫に去られた妻が居る。
あなたより悲しい人は、少なくとも三人いる。
それをあなた、思いださなきゃいけない。

ー自分だけが、みたいに思っちゃうんだろうけど、生活のリズムって、ずっと長く生きてると、波があって、家族がどんどん減る時はある。
次々に居なくなられたり、減っていっちゃうっていうか、そういう時期ってある、でもそれって、本当に何年かの事なんですよ。

ー急だから、しかも初めて、家族が亡くなるっていうことが。
初めてのことって、ビックリしちゃうんだけど、ちょっと経つと、今度は家族がわさわさ増えるの。子供が三人いる。嫁は連れてくるわ、旦那は連れてくるわ・・子供は生まれるわで、あっという間に、二倍、三倍になっていく。

ーだから、今の悲しみなんていうものを抱え込まない方がいい。
今はちょっと、寂しいかもしれないけれど、はっきり言って、寂しがっている暇がないっていうか、46歳の男にとって、家族ってどこにあるか?

ー確実に言えることは、実家じゃない。
次男坊だし、あなたはいつまでも実家が家みたいな気になっている。
でもあなたは、二十何年も前から、自分の家族ってものがあって、家庭を持って、そこがあなたの見てなきゃいけないとこ。

ー父親が喪失感を持っていて、心配なのは子供達。
しょぼくれた父親ほど、害になるものはない。
父親は、嘘でもやせ我慢。
今、やせ我慢できる人が、どんどん減ってきちゃった。

ー素直に、寂しいだの辛いだの・・って言うのが、なんか人間的でいいような風潮になっている。
優しい男がいい・・みたいな、わたしはそうじゃないと思う。

ーこういう時こそ、父親というのはやせ我慢して、「俺がどうしたって支えてやる」みたいなことを、あっちにも、こっちにも、フリして見せないといけないと思う。

ーましてや17歳の次男、きっと見ている。
自分がもし、父親がそうだったら、どんな気になったか、想像できるはず。

ーもう一回言います。「あなたの喪失感は錯覚です」
それで、あなたより悲しい人は、三人いる。
あなたが見なきゃいけないもの、子供達三人と妻であって、喪失感なんて覚えている暇がない。

ーここが頑張りどころで、わたしはやせ我慢して欲しい。
やせ我慢して、強い父親、見せてやってください。
これは子供の為。

ー自分の心の寂しさってことで、頑張ろうとか思ったら、出来ないかもしれないけど、子供の為だと思えばできる。
自分の辛さをどうやって埋めようか?とか、そんなケチくさい、自分勝手なことを考えていると出来ない。

ーだけど、自分は父親であるとか、自分は夫であるとか、自分を頼って生きてる人が目の前に四人もいる。
そこを思わないことには、乗り切れもしないし、悲しみはなくならない。

ー女々しい!46の男じゃないか。
ここが踏ん張り時っていうか、男の見せ場。
17歳の男の子に、どういう父親像を見せようか・・ってことだけ考えていたら、これはなんとでもなる。

ーだからあなたの錯覚はね、実家の次男坊だっていう意識が強すぎるから来てる。
「兄貴が亡くなっちゃった」でも、その兄貴って家族じゃない。
そういうふうに、心を持っていかないと駄目なのよ。

ー亡くなった人のことばかり思っていて、目の前に居る人をしょぼくれさせたら男の価値はない。
46、おとこ盛り。ちょっとカッコイイとこ見せて。




柴田理恵まとめ

ー先生が、おっしゃった通りだなと思う。

ー震災の時、震災に遭われた方が、何年か経って、いろいろ家族も亡くして大変だったけど、今、振り返ってみると、ここまで来れたのは、希望があったからだとおっしゃったんですよ。

ー希望ほど、力になるものはないですね・・って、おっしゃったのを読んでね、生きる望みっていうか、これから、ああいうことしよう、こういう楽しいこともあるな・・っていうふうに思うだけで、その苦しみは乗り越えていかれるんだなぁ・・と思ったんです。

ー向こうにも、高校生の方が二人いらっしゃる。
こちらにも、従兄にあたる息子さんがいらっしゃる。
19歳のお姉ちゃんもいらっしゃる。
一緒にキャンプ行くとか、向こうのお子さんも、お父さんを亡くされて、その事を言葉で理解しきれないこともあると思う。

ー年に二回でもいいから、海へ行こう、山へ行こう・・って、親戚の叔父さんが、奥さんも一緒に行こうぜ・・って連れていってくれる・・そういうふうになって、「お前、将来どうしたいんだよ」って、「二十歳になってから酒飲もうぜ」とか、お兄さんがしてあげられなかったこと、一緒に、普通に、友達みたいにしてあげたら、すごく喜ぶんじゃないかなと思う。

ーそういうふうにやってあげたら、たくさんの大家族のお父さんになりますね。
そうすると、苦しい気持ちじゃなくて、楽しい気持ちで、大家族の当主になって、喪失感なんか、どこへ行ったやらになりますから、やがて、元気な爺さんになっていくわけだから、たくさんのお孫さんが居てね・・

三石:うるさいほど増えるよ、今から。
もう、いいってぐらい。

ーそうやって、楽しくやっていってはいかがでしょうか?

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