テレフォン人生相談2019年6月6日(木)
パーソナリティ:今井通子
回答者:高橋龍太郎(精神科医)
37歳の仕事で悩んでいる女性からの相談。看護師として17年、オペ看護師としては13年、激務でやりがいがあり楽しい職場だったが、2年前から朝起きられず、仕事に行きたくなくなる時が増える。1年前に子供に全然かまってあげてない自分に気付き、退職しようかと上司に相談。部署替えで説得されるも仕事が楽しくなくなり、やる気もなくなる。人間関係が悪いわけでもなく、なんで仕事を辞めたいと思うのか自分でも理由がわからず、朝、泣いたりするようになる。
目次
仕事を辞めたくなる理由がわからない
相談者は37歳女性、13年オペ看護師として激務だがやりがいのある部署にいたが去年、部署が替わる。
夫は41歳、会社員で勤務時間は長く、子育ても家の事もできないような状態。
長女11歳と次女8歳、子供のことや家のことは自分がしていた。
看護師として17年、これまで職場はホッとする感じで辞めようと思ったことはなかった。
2年ぐらい前から、朝起きると「仕事に行きたくない」と思う事が時々あったが、いろんなことをしているうちに忘れてしまい、そのまま流していた。
自分の人生を振り返ると仕事ばかり。
子供に全然かまってあげられなかったというのが後悔として残っている自分に気付く。1年前に家の事を頑張りたいと直属の上司に退職したい旨を相談する。
上司からは17年も今の病院で働いたのだからと、楽な部署への移動を勧められ退職を慰留され、部署を替わることになる。
すると、仕事が楽しくなくなってきて、やる気もなくなり、そのうちに辞めたいと思うようになってきた。
けして人間関係が悪いわけでもなく、どうしてなんだろうと自問自答を繰り返しいていたが、堂々巡りでわからず、朝、泣いたりするようになる。
そんな折、甲状腺癌がわかり、自分の病院で手術することになる。
術後、少し休みながら、その間に身の振り方を考えようと思っていた。
今、手術が終わり休職中だが、薬の量のコントロールも出来ており、転移なく病状も安定しているので復職には何ら問題はない。これなら来週あたりから仕事に復帰することになりそう。
しかし、仕事に行きたくない。辞めちゃえばと思う自分。
本当に辞めていいのか?と自分自身に問いかけるも答えが出ない。
自分でもなんで辞めたいのかわからないが、ふと。自分自身の問題なんじゃないか?と気付く。
ノートを付けたりしているが、この辞めたい気持ちがなんなのかわからない。
なんでこんなに仕事に行きたくないのか?
転職した方がいいのか?辞めた方がいいのか?という相談。
高橋龍太郎アドバイス
働いていた部署は手術室。13年やっていて、「もう大好きだった」と相談者は嬉しそうに話す。
あなたの話の流れからすると、「時間を作りたい」
子供達と一緒に、今まで手をかけてあげられなかったことに、正面切って向き合いたいから、時間が欲しいから「辞めさせてください」と言ったのでは?と疑問をぶつける高橋龍太郎。
どうして子供達に向き合わないのか?
答えに窮する相談者。
向き合う時間があるのは喜ばしい。
かなり悩みながら
「なんかこう、仕事に行きたくなくて」と。
仕事に行きたくないのはいい、仕事に行かなくて、以前の仕事のエネルギーを子供達に向けないのはなぜか?
向けてるつもりという相談者。
その為に、激務から解放させてくれと師長さんに話をしたんじゃないのか?
「そうです」と認めつつ、自分でも矛盾がわからない。
看護婦(高橋先生は「婦」と言う)さん、燃え尽きるぐらいやっている人はたくさんいる。
そういう人は、それを辞めてしまうと、途端に「燃え尽き症候群」で、自分の生きがいがなくなってしまう。
特にオペ室の看護婦さんは、他のどの看護婦さんよりも、お医者さんの立場に近く、オペの先を読みながら、いろんな器材を医者より先に用意して配置して医者に渡す、まるで看護婦さんがオペを支配しているような気持ちの良い場所。
普通看護師さんは、お医者さんの指示で何かをするが、オペ室では自分が手術をコントロールしてるくらい気持ちの良い現場。
笑いながら認める相談者。
それを10年以上やってきたら、それだけの充実感を、他で普通に同じレベルで求めようとしても無理。
ずっとそれでやっていけるならいいが、そうなると子供達が20歳になった時、お嫁入りの時に、「お母さんには全然会話もなかった」とか言われかねないので、今がちょうどいいのでは?
割り切ったとして、忙しさに慣れた人にとっては、このゆっくりとした時間が、かえって自分にとっての辛い時間に、しばらくなる。
でも、1、2年過ぎると、自分の感情と身体の動きが追い付いてきて、子供達と向き合えるな・・と思ってくると、しみじみ自分の仕事の役割と、家庭の関係というものを見直せて、いい時間になっていくような気がする。
17年やってきたら休んでもいいと思う。
「もう、辞めてしまった方がいいんでしょうか?こういことは?」と相談者。
辞める必要はない、辞めてもまた手術室に入らない限り、これだけの充実感は普通では得られないから。
今井通子まとめ
人間って、寝て、また寝て、寝て寝て・・ってやると、一ヶ月ぐらい本当にずーっと寝っぱなし。
寝っぱなしは眠っているのとは違う。
ごろ寝していると、起きられなくなる。
DVを受けていた主婦の方なんかを夫から離したりするとき。
初めの一週間、疲れを休めてもらう。
二週間目からは、きっちり時間を決めて寝起き。
三週間目になると、なにか働いてもらう。
医学的には言われていないが、甲状腺癌が大丈夫という話なので、明日から眠くてもなんでも、朝、ちゃんと起きて、食事も作る。子供達を送り出す。そして来週か再来週かわからないけど、復帰した方が、あなたの為になる。
外科の患者さん、手術した後、重症な人は別として、2、3日で起こして歩かせたりする。
これは、骨だの筋肉だのの衰えを防ぐってこと、脳の活性化も寝ている状態にすると落ちてしまうから、そこも活性化させるために、やっていること。
『明日は自分で考えて、眠いな、起きたくないな、と思っても起きてください。』
コメント一覧
職場では同僚や医師たちからさえも頼りにされる存在なのでしょう。
生きがいを感じながら仕事をしてきた頑張り屋さん。
長い人生の中でちょっと一休みってところなのかな?
再始動には多少時間がかかっても仕方ないんじゃないのかな。
自分自身が患者の立場になった経験は、将来必ず生きてくるでしょう。
相談者さん、子どもの頃から、我慢や頑張りが多かったのでは・・・と思ってしまいました。
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